営業の達人への道

      営業マンとして身につけておかねばならないマナー・行動、考え方の基本

入門編 25.営業マンK

25.営業マン K

 
  営業を長いことやっているといろいろな人物に出会う。お客さんはもちろんのこと、この業界でうごめく個性の強い営業マン諸君にもよく出会ったものだ。彼が営業マンとして、立派なのであればそれはそれとして素晴らしいのだが、話としては大して面白くない。ということで、今回は、「こんな営業マンが居った」ということで聞き流す程度で何らかの参考にして欲しい。(古い話なので下記の話しは時効ということでお願いします。) 
 話は14年ほど前にさかのぼる。その当時、我が社は会社が出来て数年の頃で、今だ赤字体質から抜けきれず、官公庁への食い込みの中から実績を積み、業者ランクがAとなるべく
日夜努力、努力の毎日であった。会社が第三セクターということもあって、各種情報だけは早めに入手でき、また、それを活かすことによって受注に結びつけることが出来る。決して隋契で仕事をいただけることはない。 こういう状況の中、ある時、H市の環境E課から事前に相談を受け、業務分析、システム打合せを進めることになった。数ヶ月後、この物件は当然、用度課を通しての4社がらみの入札となる。
 ここで営業マンK君の登場。各社に対し事前に話し合い、先行努力もしているし、プログラム作成ということもあり、当社がチャンピオン。しかし、話は巧くいかなかったのだ。当社の落札シナリオは、2回目に取ることになっていて、各社は二回目まで応札することになっていた。 が、なんとK君は、こともあろうに2番札を何を血迷ったか最初に出してきた。K君は札を前の箱に落し席についてから、悲鳴にも似た声を上げた。「アーッ。間違えたー」しかし今更どうする事も出来ない。当社が二回目で落札する物件を初っ端1回目で落札してしまった。後から、参加した業者から苦情の電話も入った。環境E課からも失望の話も出た。しかし、何故、K君は、間違えて2番札を最初に出したか。後でその会社のK君を
よく知っている営業マンに聞いてみると、「彼は、入札ということになると何故か、頭が真っ白、支離滅裂になってしまう」とのこと。病院の白衣を見ると血圧が上がる人がいるのは知ってたが、入札でねー。後でこの会社に乗り込んで散々クレームをつけて本人の席に行って見ると、応札から帰った後ずっと机に頭を何時間も伏せている状態だった。こんな調子でどやすことも出来なかった。 こんなこともあって、受注実績はK君の会社に、我が社はスルーで仕事を請けることになってしまった。 数字も欲しいが実績ももっと欲しい。何せランクが低いと10,000千円以下の物件しか扱えないのだから。
 それから、1年ぐらいしてから、市の1階ロビーで、知っているH社の営業マンに出くわした。 何でもH社が落札する物件をまた、K君が落札し、その納品を今やっているとのこと。 こんな話を聞いて顧客ばかりに注意がいき易いが、身の回りもよく注意して手を打たないとね と思ったもんだ。
 また、こうも考えた。これがK君のやり方だったりしてね・・・と。


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26.営業ウーマン F

26.営業ウーマン F

 
 長いこと営業をやっているといろいろなことがある。営業部長で部員5〜6名を任されていた頃、その中に1名、営業ウーマンがいた。いたというよりもなってもらったのが言い方としては正しい。彼女は既婚で、当時年齢は20代後半。もともとPCのインストラクターとして中途入社してきたが、当時すぐにインストするようなパソコン教室のお客も集まっていない。ということで急きょ、コンピュータのパッケージソフトの販売営業をやってもらうことになったのだ。彼女はもともと頭が良いほうなので、比較的早く営業ウーマンとして立ちあがって来た。男子営業マンと同様に飛び込み訪問をかける。見込み客も徐々に上がってくる。という具合で、なんせ第一印象がいいものだから情報も取りやすい。すぐにパッケージの提案書、見積書も作成し、提示出来るようになった。男子営業マンと比較すると、飛び込み訪問の食い込みがいい。女性特有の生真面目さもあるのだろう。大体飛び込み先の団体は、検討窓口も男性が多い。飛び込んだ時、ニコっと笑って可愛い女性が突っ立っていると、余程のことがないと今忙しいとは決して彼らは言わないのだ。夏ともなるとシャツも薄く透けてきて、それにミニスカートだ。どんどん情報が取れる。見込み客が増える。この時、思ったものだ。本来女性としては、大変だろうコンピュータ営業も情報収集という役割分担では活かせるぞと。そうして、見込み客がクロージング段階となると、部長同行、まるでいい意味での美人局方式でクロージング。 こんなんありだーと嬉しくなってしまった。
 この彼女は、本来インストラクターがしたくて入社していたもので、やがて本来の営業の難しさや体力勝負に音を上げて退職してしまったが、男とは違った営業感覚、視点ほか女性特有の甘えまで勉強させてもらった。
 彼女は、2年ほど前に自分で会社を起して、この時の延長線上で経験を積んで今を頑張っている。

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