営業の達人への道

       営業マンとして身につけておかねばならないマナー・行動、考え方の基本

入門編 19.営業カタログ                       

19.営業カタログ  
 営業マンの中を見れば、その営業マンの優秀振りが判るものだ。出来る営業マンは、常に「玉込め」が出来ている。玉の中のひとつに、メーカから仕入れる製品カタログというのがある。今は、営業もソリューション志向なので、機器だけの説明で営業を進める事は先ずない。しかし、随分と昔、まだ、コンピュータ機器に荒利が取れて羽振りを効かせていた頃、こんな事があった。 それは、物件としては Aのランクでいつ決まってもおかしくない状況の中。ワンマン社長の判断待ちの状態。すでに営業期間は1年以上でトップも含めた現場説明会も乗りこなしている。こんな中、その社長がコンピュータ導入を決め、総務部長に導入を進めるのでよく来ている「NEC」を呼べという事になった。この時総務部長は入れ替わったばかりで、まったくそれまでの検討状況も訪問している営業マンの名前も掴んでいない。部長は、社長より下ろされたカタログの裏の地元支店電話番号でメーカに問い合わせた。メーカは、また、細かい状況を掴んでいないのか、最も親しいディラーの営業マンまで連絡、その日の内に受注とあいなった。その営業マンは「いいんですかね」といいながら判をもらったらしい。この話しを1日遅れて入手、早速、総務部長まで掛け合ったが、すでに注文書は出ている。この時だけは、思わず心の中で「何でなんやー」と絶叫したもんだ。総務部長に会って、細かな状況展開を聞いて上記のことが分かった訳で、部長はよそに決まった事について、大変恐縮して近くのレストランで飯をおごってくれたが、今でもなにを食ったか全く覚えていない。
 後悔先に立たずだが、あの時、カタログの裏に、手間でもディラーのゴム印ひとつ押しておけばこうはならなかっただろう。今でも悔やまれる反省材料のひとつである。

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入門編 20.身体障害者

20.身体障害者
 営業の話しとは少し違ったニュアンスを受けるが、この話しもやはり営業の一環である。部下の一人に、重度身体障害者がいた。若いときに腎臓を患い、今は人工透析を行っている。彼の苦しみは恐らく、健常者の我々が考える何十倍もあるであろう。仕事を終えた月・水・金の午後6時くらいから、透析のために病院に入り、4、5時間の透析を受ける。彼に云わせれば、この後の倦怠感はすさまじいとのことであった。この彼が、営業がしたいということで、営業予算が割り当てられた。当然同期の者より、額は低い。営業というのは受け持つ数字が順調であれば、これほど魅力のある仕事はない。しかし、いつも順風満帆とはいかない。彼が数字的に大変落ち込んだ年があった。仕事として公平に数字を割り当て、また、公平に叱咤もする。数字の前ではすべての営業マンは、難関を廃し、前に進むしかない。この時何故か彼は違った。上期の部全体の数字を達成するためには、彼の努力が必須であった。しかし、時間が迫っている。彼の未達成数字をフォローするために皆で協議する事になった。土曜日の午前9時から。しかし、彼は出社して来なかった。後で彼に聞いたが、土曜日は前日の透析で疲れ、1日中寝ていたとのこと。そうであれば、別に打つ手もあったのだが、皆が白けたのは言うまでもない。身体障害者とて自分の仕事・数字には責任を持って欲しい。その立場の中に数字から逃げる理由を作らないで欲しい。そう思ったのは、別人から、彼は土曜日に、ゴルフや釣りなんかによく出かけてるでーと聞いた時である。


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