”☆☆介護保険に三十六言☆☆”

久しぶりに雨がふり大量な埃をかぶっていた葉っぱや草が嘘のように
鮮やかな緑色に変身し空気までうまいその日の夜は満月だった。
200メートル離れている家のばあちゃんにオハギを持って行ったとき
月の明かりで出来た自分の影が路上に映っている。走り出したら影も
走り出し、止まれば一緒にとまる何回繰り返しても同じように付いて来る
今度は月を見て走ったら月もついてくる止まれば影と同じように月もとまる
月と影が同じような行動をとり「なんでかのうピタッとくっついて気持ちが悪いのう」
遠く離れている月と追いかけっこしているようだが
けして影も月も自分を追いぬくことはなかった不思議じゃのう
「どうして?}ばあちゃんに聞いてみたら「じいちゃんに聞いてみんさい」
「右弦・左弦なんかわけのわからんこと言うてうるさいよ」
「もうおそいけぇ、ばあちゃんは寝るけえ」

「じいちゃんに聞いたらそんなことより凄い手品をみせてやるけえ」
「オイ坊主今夜10時になったらじいちゃんが月を隠すけえのう」
「まんまるい大きな黄色した月は地球から遠く離れているのに」
「手も届きもせんくせに月がかくれるもんかい」
「どうせワシを目隠し消えたろうがと言うに違いないよ」

約束の時間がやってきた。気のせいか月の左のほうから
欠けてくるような気がした
段々と欠けて三日月の形になった「うそじゃろう」ほっぺたをつねったら痛かった
「夢ではないぞ」じっと見つめていたら月が消えた「うそじゃろう」
気がついたら周りも夜空も真っ暗闇になった
いままで出ていなかった星が大空一杯に飛び出し銀世界に変身した
「不思議じゃのうじいちゃんは魔法使いか」
「じいちゃん怖いからもとにもどしてよ」
するとじいちゃんが呪文をとなえだしやがてもとの大きな月がもどってきた

学校にいって「うちのじいちゃんは世界一の手品師なんだ」
「遠く離れた月を小細工しないで消したんだ」鼻をこすりながら自慢したら
昨夜は月食があったのよ」
「お前のじいちゃんは魔法使いでもなんでもない。ただのじいさんよ」
「月食も知らないでいままでよう生きとったのう」みんなに笑われた
急いで帰りじいちゃんに報告したら「生意気な。ヨシ今度つれて来い」

じいちゃんは最近ボケとるような気がするが嘘は言ったことがない
じいちゃんを信じて「じいちゃんが黒い太陽に変身させるぞ」
皆に言ったら腹をかかえて笑った「赤いものは赤よ、黒くなるわけがない」
お前のじいちゃんは痴呆じゃないのか

今度は昼間で回りは明るいし手品で太陽に墨を塗ってもすぐばれるがのう
じいちゃん大丈夫かのう「馬鹿たれが自然を知らないような者は相手にするな」
じいちゃんが怒った、痴呆の言葉が気に食わなかったらしい

「どうやって隠すのか木の葉の陰をよう見とけえよ」
地面に映っているいっぱいある影は全部丸かったが時間が近づくにつれて
月と同じように欠けてきたとうとう三日月の形になった
しばらくしたら木の葉の陰が全部消えた瞬間
昼間なのにまわりが暗くなり慌てて太陽を見ると
スミでぬったように黒くなっていた不思議だ

「こりゃあ大変じゃこのままでは地球の生物が全滅してしまうぞ」
急いでじいちゃんにもとにもどすように言うと
遥か彼方の黒い太陽に向かって又呪文をとなえだした
月と同じようにあ明るいまぶしい太陽にもどった
じいちゃんは凄い力をもっているんだと塾に行って自慢したら
「あれは日食というのよ、また馬鹿にされたよ」じいちゃんに言ったら
よし土星がどのくらいの大きさかそしてどんな形しとるか聞いてみい
「そりゃあ惑星なかで木星が一番大きく二番目に土星よ地球は五番目よ」
「それに回りに輪があってドーナツの形をしたきれいな星だよ」
ものしり博士のようにエラソウ言った

「よし、今夜つれて来い」天体望遠鏡を用意していたじいちゃんが
「おい坊主のぞいてみい」「何もないよ小さな光が見えるだけよ」と坊主が言った
「心静かにして見てみいやぁ」
「あっ消えた」「微調整で星を追いかけにゃあ相手は動いておるけえのう」
あわせてもすぐにレンズから消え、凄い速さで動いてる
「そうじゃあないのよ地球が自転しているのよ」
「すべての生き物は明日に向かって動いているのよ」
「お前の頭だけが動いていないのよ、はっきり言えば゜頭を使っていないのよ」
「うるさいのう」じいさんのことを認めたのにチャント教えてくれればいいのに
「オーやっと捕まえたぞ小さくて帽子みたいなのが土星なのかね」
「それにしても小さいのう輪はなんで、できとるん」

「土星は坊主が思っていたより大きゅうなかろうが」
「オモチャのように小さいじゃろうが」
「地球のゴミは美しくもなく有害なだけじゃあが」
「土星のゴミは氷や岩石の塊だけで月と同じようにゴミが土星の周りを公転して
丸いリングをつくり帽子の形になるのよ」
「それにしても神秘的で美しいのう」

「やっぱりお前のじいちゃんは仙人じゃのう」
「ワシは仙人じゃあないヨ、ただのじいさんヨ知識があるだけよアッハハハ」
「太陽が欠けたらなんで葉っぱの木陰の影も真似をするのかねえ」
「太陽が丸いと影も丸く三日月になると影も三日月になるのよ」
影も親の真似をするのよ人間も同じことが言えるけえ気をつけにゃあ」

カワセミ

この前隣のおばさんが外の石段を踏みはずし転んで足を捻挫したとき
「おばあさんが骨折したげな」近所で大騒ぎになり

「階段をはようスロープにしとらんけえよ」
よくばりなばあさんだからしょうがないが、ワシはまだ64歳じゃけんつかえんが
おばさんは65歳じゃけん、介護保険の住宅改修を利用すれば
工事費の一割払えばできていたのにのう痛いめにあわんですんだのにのう


お前も年じゃけえはよう廊下に手摺をつけてもらい転ばんようにせえよ

介護認定を受けていないのに保険が使えるのか


そりやぁそうよ介護保険は申請した日に遡って介護保険が使えるけえ
それに住宅改修は要介護度なんか関係ないけえのう

こりやぁエエ話しを聞いた。早速手摺取り付け工事をしてもらって
一割分だけ金を渡すと全額下さいと言われたがどうしてや


そりやぁそうよ、まだ介護認定の結果が出ていないので
業者に工事費を全額払えや「どうせあとの九割は保険からもどってくるけえ」

お前が言うたけえ安心していたら「自立」と判定されため保険からの
住宅改修費は支給対象になりません、とつれない言葉がかえってきたがどうしてや、
保険料を払っているのに


「そりゃあそうじゃろうてい」公的機関のバスに乗って通院しとるけえのう
介護が必要な人に対して保険が使える仕組みじゃけえ無理はないヨ
お前はまだエエほうよ。 三軒隣のおじいさんはトイレを和式から洋式にかえて介護保険の
住宅改修費で済むと思っていたら70万円の請求がきてびっくりしとったがのう

改修工事費の20万円でできるんじゃあないのか


馬鹿じゃのう、たった20万円で住宅改修ができるわけがないヨ
せめて手摺ぐらいなもんよ、まだまだひどいのがあるぞ
保険でできるからと進めらけれ調子にのったおばあさんが
ウオシュレットの便器に取り替え
ドアの開き戸を引き戸に替えたのはエエが
腰が痛いのに肝心な所に手摺がついとらんと怒りだし
立ち上る為の手摺をつけさせたり
床をみれば汚いのでフローリングに取り替えりたり
床が綺麗になれば次は壁が気になりピンクのクロスに張り替えたり
壁が綺麗になれば照明が気になりシャンデリヤに取り替えたり
照明が新しくなれば天井が気になり天井板を張り替えたり
天井が綺麗になればもしトイレで倒れたらと思い
緊急ブザーを取り付けさせ、ついでに安心電話も取り付けたよ
トイレ改修が一段落すれば次は風呂場が気になり
風呂場が便利になったら台所が気になり
そのうち小さな廊下と居間との1センチの段差が気になり
その次は玄関の敷居と外の階段の大きな段差が気になり工事費なんか考えもなく
「ワシは四十歳の時から介護保険料を給与から天引きされとるけえ

気にせんで工事費ぐらいは介護保険から出るえ気にせんでもエエわい」

おおみえきって工事させたら
500万円請求され腰をぬかして今、奥の三畳間に寝ているよ

なんでやぁ床や壁や天井の改修工事も保険がきくのじゃあないのか


介護保険の適用は装飾目的なら壁・床・天井など対象にならんのよ

それはないじゃろうが住宅改修費と名前つけているのに


知らんよワシがつけたんじゃないけえ
保険料の範囲は手摺の取り付けぐらいよ

そんなら器物取替えとか転倒防止費と分かりやすく名前をつければええのに


お前の言うとおりよ最初から住宅改修費とつけるのがミソなのよ、
アジを釣るときのようにようにとるじゃろうがぁ
住宅改修ができる費用がありもせんのにあたかもできるようにうたっとろうけえのう

実際出来る改修工事費の内容を言うてみいやあ


それはのう介護の手間がはぶけるものだけが対象なのよ
さっき言うたとおり開き戸ならドアをひらいてやらなければいけんが
引き戸なら自分で引くことができあとすざりせんでもエエし、
廊下に手摺があれば一人で便所にいけるし
便器が高ければ座りやすいし手摺があればなお立ち上るのも楽じゃけのう

参考に改修工事費の対象になるのは次の通りよ
●◎便器の取り替え
●◎屋内の手摺の取り付け
●◎屋外の手摺の取り付け
●◎段差の解消
●◎床材の変更
●◎扉の取り替え
●◎浴槽の取り替え
上記の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修

そうかたったそれだけか、一つ直したら次も綺麗にしたいのが人情じゃけえのう
最初から住宅改修費の話しを聞かんほうがよかったかもしれんのう
「保険を使わなくてよかったね、保険は命の守り神で健康なのが一番よ」
とじいちゃんが言いよったが本当じゃあ健康が一番それにしても
保険が使いたくても使えのう


そりゃあそうじゃ、贅沢は言わんけえ生きる保障だけしてくれればのう
お前もいつまでも年をとらにゃあええがのう

合歓木

地方分権といいながら市町村も大変じゃのう
バンバン介護施設ができて、財政は大丈夫かのう
明日天気になーれ、
ゲタを空中にけとばし裏になったら雨よ、表になったら晴れよ
ゲタうらないはあたらんかったのう
テルテル坊主を作って明日の天気を神様に祈ったもんじゃが
これもあたらんかったのう

ほいじゃがツバメが低く飛んでいるときはじいちゃんが言うたとおり
かならず雨がふったけえのう
不思議よ、なんでかじいちゃんに聞いたらもう少し自然をみい
夕方の西の空の色は何色かみとるんかぁ夕焼けなら明日は晴れよ
両目が開いているときチャントみにやぁ
五体満足に産んでもらったかあちゃんに感謝せにゃあ

人の命の大切さえ考えない世の中になったのう
新たにテロがはやっているがそれも自爆テロで防ぎようがないのう
それにしても外国の子供は凄いのうしかも16歳の子供がのう
お兄さんは弟が自爆することがわかっていたら必ずとめる
といっていたが命を粗末にするもんじやぁないよ

幼い女の子も自爆テロにくわわったらしいが
なにも知らない子供までがのう
自分のことばかり考え相手のことを考える人間が少なくなったのう
利己主義の考え方よ
相手があって自分が存在することを忘れているのよ

必死になって子孫を残そうときれいな花をさかせ
ミツバチがオシベの花粉をわざわざ飛んでめしべにつけ受粉させ
互いにはなれていても調整を役をやっているミツバチには
代償としてチャントに蜜をあたえて代金を支払っているがのう
これが自然の常識よ
じいちゃん、ばあちゃん頑張れ「子供の心を成長させなかったら死ぬ暇はないで」


♪♪♪♪♪♪♪♪一番星みつけた♪♪♪♪♪♪♪♪

♪♪♪♪♪♪♪♪二番星みつけた♪♪♪♪♪♪♪♪

♪♪♪♪♪♪♪♪三番星みつけた♪♪♪♪♪♪♪♪
     

∵∵∵∵∵∵なにもできない寝たきりの年寄りの切ない願いよ∵∵∵∵∵∵

♪♪♪♪♪♪♪♪見上げてごらん♪♪♪♪♪♪♪♪

♪♪♪♪♪♪♪♪夜の星を♪♪♪♪♪♪♪♪

♪♪♪♪♪♪♪♪ちいさな星を♪♪♪♪♪♪♪♪
  

おかしなことよのう

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