「道路は大事な自転車乗りの練習場じゃあ」ブツブツいいながら始末しているうちに
隣の家からクサイ臭いがしてきた。
重たそうにタルをかつぎ、じいさんが戻ってきた。隣の叔母さんと何かやりとりしている。
なんと物々交換しているのだ。ただでできる人糞と卵3ケにハクサイとの引き換えとは、
人糞に値がつくとは、おどろいた。
こじきが気になり行ってみるとまだ寝ている。
「オーイオーイ乞食」と言っても、知らん顔をしている。「よっしゃ石を投げたれ」乞食は
ときどき
水道管から顔をだし、こちらを睨むだけで知らん顔しとるので、
「エーイ」調子に乗って、どんどん石を投げているうちに
石が魔法使いのような帽子をかぶった頭に当たったとたん、
「エエカゲンニセイヨ」歩けないはずの乞食が怒って杖をふりあげ、
ハヤブサのような速さで追いかけてくる。
必死に逃げ捕まる寸前に勝手口に着き、中から急いで鍵をかけた。
乞食は杖で板の引き戸が破れんばかりに叩きまくる、
「バシャン、バシャン」今にも引き戸が壊れ、中に入ってくるようで、
大変怖く足はガクガク震え顔は青ざめひきつった
。
「このタンコブ見てみい黙っておれるかい」
「こりゃあ、石を投げたのは本当か」
じいちやんがゆうた
資格をとっても就任しているケアマネージャーは半分じゃげなのう
一人の一ヶ月の給付管理報酬が約7300円で30人分のケアプランをたてら
ちゃんと当たり前の給与をもらわんと
暗い話ばかりでわしは年をとりとうないのう
鎖鎌を武器とするサムライと戦うときは
技を磨くことばかり考えないで、その場に適した発想が必要なのよ
おかしなことよのう
太陽の日差しがカンカンと地面を照りつける暑い夏のころ
直径1メートルの水道管の中が涼しいらしくコジキが気持ちよさそうに
昼寝をしていた。
モーウモーウと「今到着したぞさあ、をみやげだあ」ポッタポッタと、
道路にすました顔をして軟らかい糞をする。白と黒の模様した牛をあやつりながらじいさんが
「ぼうず、早く牛の糞をかたずけえ」といわんばかりの顔をして、
桶と杓子を持って、牛車から降り隣の家に向かった。
こんなちっちゃな子供をイジメるんじやぁない」と威喝すると
乞食は、
「働きもせず遊んどるけえワシが悪いんでがんす明日から民間の
職を捜してもないけえ市役所にお願いして日雇いしてもらうけえ」
次の日コッペパンを持っていったらホームレスの姿はなかった
「それでええんよぅ」とじいちゃんは笑って許してくれた
「すきで遊んでいるわけじやぁない、働く場所がないのよ」
今の時代にそっくりじやのう
あれは例外じゃあないヨ、まだまだ起きるでぇ
ケアマネージャーの給与が生活出来るだけの保証がなく
出来高ばらいじゃあけえのう 。
なんでじゃそりやぁ知らんよ、本人に聞いてみいやぁ
事件後ケアマネージャーの資質を問うとか人格を疑うとか言っているが
ますます実戦で働くもんがおらんようになるのう
しょうがないよ、一人でも事件起こしたらすべてだと思われるんヨ
万事がすべてヨ
そうかのう
報酬が少なすぎるのと違うか
ちやんと生活ができるたけの給与を払っているのかのう
とうぜん月給制じゃろうがのう
そうじゃないよ歩合制らしいぜぇ
介護にそんな馬鹿な話があるもんかい
知らんよ、わしが決めたわけじゃあないけぇ
よう説明してみいやぁ
よう聞けよ下の表が給付管理報酬一覧表よ
一ヶ月分の出来高は7300×30=219000円しかないヨ
その中から交通費・電話代・コピー代・かみ代・ガソリン代もろもろ
差し引きしたら手元に残るのは過労ばかりヨ
調査に行ったら世間話からはいり昨日の体調から聞き本題にはいるんじゃけえ
15分の世間話も一時間かかることも再々ヨ
調査費用は一回につき3150円じゃが、年一回ぐらいしかないけえのう
そしてケアプランをたて次の日説明しに行くと、「そんな約束した覚えはありません」
昨日作ったケアプランが破棄になるのは茶番劇ヨ
こんなことが度々あり30件のケアプランが成立するまでには
半分は手直しするけえ、30件の1・5倍して45件作成した計算になるヨ
それにのう
「働いているからいつも6時以降に来てくれとか日曜日に来てくれ」と言われ
家族に合わせての介護保険じゃあけぇ、まともな勤務時間内では消化できないヨ
深夜になることはあたりまえじゃと思っているけぇのう
そんなことで徹夜もしばしばヨ、何回も電源切って寝ようと思ったが
そうは出来んかったよ、福祉の精神で人助けぇせにゃあいけんけぇのう
息子の学資どころか飯も食えんヨ
介護は心であることを忘れ分単位で計算するから間違いヨ
そりゃあそうよ介護量も色々じゃあけぇ、どんぶり勘定でせにゃあ
お前はエエ発想しとるのう
お前のホームぺージ見とうないよ
こんど明るい介護保険を書くヨ
期待せずに又見てくれゃあ
二本の刀を用意して一本の刀に鎖を巻きつけ鎖を封鎖して
もう一本の刀で相手を切る
「こすいのう」
物干しざおの長い刀を持つ侍と戦うとき
相手より長い「ろ」で戦い相手を叩き切る
「こすいのう」
あだ討ちのサムライが刺客としてくると
「体力がなくなった」といって剣をすて、書物に没頭した
「こすいのう」
卑怯でもなんでもない「知恵よ」生きているうちに、頭をつかわにやぁ損よ
決断と知恵のあるもんが勝つ」と、ようじいちやんが言いよったヨ
自然の中で柔軟な頭は勝負に勝つヨ
まさに自然的な発想じゃのう。
大将に言葉の意味を問いただしていたが
4年間も勉強したと言ってえらい剣幕だったが
しよせん人間が作ったものじゃけえ時代にあうようにすればいい
あれから半世紀過ぎとろうにのう
牛が道路を歩く頃の話じゃろうがのう
あの頃はダイオキシンの話などはなかったろうが
政治をいつまでも骨董品扱いにしとるけぇ
「チョンマゲつけIT革命時代にキーボートをたたかずに
電卓どころかソロバンをはじいとるんじゃ」と言われるんよのう
もっと現実を見つめた政治をせにゃあのう
人の金をあてに生きるこころが、
犯罪を犯しているのと違うか。
知恵袋、知識、常識のある人が去っていきますねぇ
そして人間の病にきく宝の笑顔が、懐かしい時代になりました
自然の中に生き社会の流れに乗らにゃあ