”☆☆介護保険に二十八言☆☆”

隣に住んでいるおじいさんは頭がよかった。
ワシはいつも「おじいちゃん今日は」ちょっと挨拶するだけで
「良い子じゃのう」と言ってはお菓子をくれた。
有難うと言うと又くれる。じいさんはケチンボでチョットしかくれなかったけど嬉しかった
そのおかげで誰にも挨拶ができるようになった。知らない人とすれ違うときでも「ただいま」
と挨拶すると「おかえり気をつけて帰えりんさいヨ」とにこにこ笑いながらこたえてくれた
じいさんとちがってお菓子はくれんかった。
友達が一人増えたような気分になりうれしかった。

不幸なことに凶悪事件が起きるようになった
「チョコレートをあげるからついておいで」甘い言葉をかける誘拐事件(身代金要求)が 頻繁に起き、
学校の先生から「知らない人に付いて行ってはいけません」と注意され
それからは知らない人には二度と挨拶することはなかった。
凶悪犯罪のため人を信じる大切な心が失われたのだ
しかし、隣のじいさんは口も悪いが色々なことをよく知っているので遊びに行った



「ぼうず、はよう大きくなって親孝行せいよ」口ぐせのように言っていた
じいさんはきたない格好していても懐中時計をなおすのが日本でも名人だ
柱時計なんかぁ朝飯まえで、目覚まし時計などもいとも簡単に修理していた
「ぼうず、小さい時計ほど修理がむつかしいんでぇ」と言っては
左目にガラスが入っている黒い筒を差し込んで修理をしていた
じいさんみたいに時計の修理がしたかったので時計を分解したら、おやじに怒られたので、
じいさんに頼んだら一分でなおった
凄いじいさんじゃのう

心から尊敬していたじいさんが生きているのに殺された
極道息子がじいさんの親戚や知人に訃報の知らせを出したのだ
急な死に方なので身内だけで密葬します
気持ちだけのご香典を郵送もしくは下記の口座番号に振り込んでください
全国的に有名なじいさんだから沢山のお悔やみ電報や、香典が沢山届いた。

長女のもとにも同じような知らせが届いた
雪が深く遠いい岩手だから今は帰れません。春まで待って、
長女は悲しみ「親不幸を許して下さい」広島県にむかって合掌した

桜が咲く頃じいさんの大好物だったおはぎをつくり墓まいりに広島に戻った。
ただいま、「大変だったね」敷居をまたいだとたん
「なんのことかネよう遠くから来たのう」死んだはずのおじいさんが
ニコニコ笑いながらでむかえてくれたじやぁないか
どうしたん死んだんじやぁないの
わしは元気よなんのことや・・・

とんでもない人騒がせな息子よのう、香典を返そうと思っても
競馬、競輪につかい、1銭も残ってなかった
香典泥棒は聞いたことがあるが香典さぎは聞いたことがないぞ
やれやれ



わしには極道息子がいて世間を騒がしたがのう
小さな時計を修理するときは大きな虫眼鏡を利用すれば
大きく見えて「小さいネジも大きいネジも同じように見えるのよ」これが秘訣よ
そういえば一眼レフみたいなものを左目にさしこんで修理しとったのう

「なんでも工夫と発想が大切よ、生きているうちに頭をつかわにゃあ損ヨ」と言って
数日たって本当に死んだ



このまえの話はヨウわからんのう

10月になって全額介護保険料を支払うようになって 苦情がようけぇあるらしいが本当か

あるヨあるヨ一杯あるヨ
ほうヨ、介護保険料全額徴収するようになって苦情がようけえでるけえおおごとよ
怪我で不自由になった手足はリハビリでなおるが、年をとった骨の変形はなおりやぁせんよ。
悪うなるばっかりで現状維持を保つのが精一杯ヨ。

介護認定有効期限が来るので申請したら、前回よりも介護度が下がったんヨ
よう聞いてくれや、要介護度2が今度は要支援になったんぜえ
以前は在宅にヘルパーさんや看護士さんがきてくれてよう細かい面倒みてもらい、
週二回は風呂に入れてもらいええ保険制度が出来たもんよのうと思っていたが
頼んでみてびっくりしたよ
今月も体調がすぐれないので先月と同じにケアプランを計画してくれとたのんだら、

今月からのヘルパー訪問は実費をいただきます。

実費とはなんのことやと文句をいったら

介護度2からあなたは要支援になったのだから使える金額は、
( 要介護度2−要支援)は金額になおして
194800円−61500円=133300円だから今月からは133300円分は実費です

なんのための介護保険かわからんのう、左手がしびれ菓子をとろうとしても握られない手になり
背中が亀のように彎曲し腰が痛くなるばっかりなのに、要支援とはのう
「調査の仕方が間違っとるんじゃろうがぁ」とケアマネジャーに言ったら

知らんよ私がきめたんじゃあないけえ

だれでも年をとれば額や頬にしわがよってウメボシみたいな顔になるのよ
「体も見てみい骨と皮じゃろうが」お世話になる量が増えるばっかりよ

「しらんよ認定では元気になったと判断したんだろうよ」ありがたいと思いんさい

「馬鹿言え」病気の場合は駄目だが
加齢が原因で介護が必要になった場合は認定されるんじゃあないのか
保険料が上がって介護度が下がるなんて・・・
それに天使と思っていたヘルパーがまた悪いことをしたのう。なんでやぁ

一人のために皆が迷惑するのう、収入が不安定だったんだろうヨ
慣れと馴れ合いと、ついついこのぐらいならのことはわかりゃあせんよの、猫ばばの精神が、
千円が積もりつもって百万円にばけ犯罪を引き起こす原因よ

そりゃあそうよのう

年寄りは親切にしてくれるヘルパーがすきなのヨ
おなじヘルパーが何ヶ月もいくからのう

慣れた人がええと聞くがのう

そりゃあそうヨ冷蔵庫の中の物の賞味期限もよう知とるし、
買い物も好き嫌いがようわかっとるけぇのう、同じことを言わんでもええし、
味付けも一から説明せんでもええしのう

そりゃあそうじやあ慣れた人のもんヨのう
どんな年寄りが被害にあったんやあ

心配せんでもお前みたいな猜疑心の強い者はだまさりゃあせんよ
さっき昼飯食ったのにまだ食べていないと嫁を怒っている老人が騙されるのよ
お前も同じことを繰り返して言っているが聞いているほうは苦痛なのよ
昔のことを現実にあわせて言えばあたかも本当にとれてボケとるようには見えんがのう
そりゃあそうじゃあ、なんでゃあ

年をとっても記憶力は残存しとるが、記銘力がなくなりチンプンカンプンの老人になるのよ

ほうかぁ
耳はとおいしおまけに目は見えんし、どうすりゃあええんかいのお

脳をつかつていないのがまずいのよ
学者が左脳右脳と言っているがまず先に汗をかいて体の老廃物を出すことよ

今となつては手遅れじゃろうのう

まあ、せめてごまかした嘘がばれて冷や汗をかかんようにすることよ
無心で精一杯力をだし自然な汗が出るようにすることよ
ようじいちゃんが言いよった。たった一人のせいで全部が悪く見られるけぇ
悪い環境をつくらず犯罪を起こす前に「気楽に相談されるような人間になれ」と

青田がりと言って稲を刈って捨てているが

おふくろが「米穀通帳持っていけば米が配給されるから安心じゃあけえ」
東京に持っていったが、「なんですか、そんなものは不必要です」と言われた

難民や不作で農作物が望めない国に無償であげればええじゃあないか
干ばつや台風などで収穫が望めないとき先祖は保存方法を苦慮したのにのう
稲穂が豊作なら米代も安くなり働くだけ損だと、言ってわざと切り捨て腐らすとは

そんな話があるもんかい
それこそ税金をつかい天の恵みに感謝し
天災で収穫できなかった国に送ればええのにのう
値下がりするからといって切り捨てるとは・・・

「言語道断じゃあ」もったいない
茶碗に一粒の飯粒でも残していたら
一生懸命に米をつくた農家の人達の苦労が報われんぞ
「金の問題じやぁないぞ、心よ、有りがたい米を粗末にするな」
「粗末にすると罰があたるぞ」ようじいちゃんに説教されたヨ

アフガニスタンの難民の人達はすきで難民になったわけじゃあない
餓えが迫っている人たちだから一日でも早く日本も米を運んだらんかい

審議どころじやぁないよ、日本国民は誰も怒るものはいないよ
地球に住んでいる人には、いや生きている動物、生物も
食生活ができるだけの環境を確保してやらにやぁ

国連総長が国際法で難民のために国境を開放せよ
ええことを言うのう
安全確保ができたらもとの土地にかえればええ
人類の共通した問題よこの世に生かされた大切な命よ
餓死して死んでいく人達の話をきいても幸福な気分になれんよ
自分は一切れの肉で十分、残りは宅急便で難民に送ってくれんかのう
金を要求しているのではない食糧よ
日本も救済の心が失われつつあるが大丈夫かのう

マツタケが高うて食べれんのう
30年前の話じゃがばあちゃんの家にいったら
マツタケを庭一面に並べてすきなだけ持って帰りんさい
素直にポケットに入るだけ詰め込み、帰って七輪で焼きまるごと一本食べたら
香りがよく歯ごたえがありうまかったがのう。
ついつい5本たべたら食いすぎじやぁ
よう言われたもんよ

なんではえんようになったのかのう

都市ガスが現れてからかのう、まきが必要になくなり
山に人がはいらなくなったけえかのう
ようクマデをもって赤松の下の松葉を集め、炭俵に木端を一杯つめ
小さな体でおおきな炭俵を背なかに負ぶって
山から走って帰って草野球したもんよ、それも毎日のう

小学校の先生に校門の前の銅像の二ノ宮金次郎のようになれと言われて
真似をして本を読みながら山からおりたもんよ
五右衛門風呂の風呂焚きは松葉を燃やしたら煙がようけでて
もう風呂がたけたように錯覚されそれさいわいにと
すぐに遊びに行きよったがのう
おおペイオフのことを言うことを忘れていたが もう酔うとるけえつぎにするヨ

おかしなことよのう

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