ワンタの闘病日記
       
(残された命を精一杯生きた雑種犬と家族の20日間の記録)



                 
                     歳を取って顔が白くなっても、
                          子犬のように、いつまでも可愛かった。

平成16年11月頃  散歩で道草を食べては黄色い泡を吐くようになる。
          でも、その症状を除いては、毎日元気一杯で何でもおいしそうに
          食べて家族と暮らす。大晦日にはなにも食べなくなり、水だけは
          ガブガブ飲む。おかしい。


 平成17年12  お正月のため開いている病院がない。ネットゃ電話帳で開いている病院をやっと見つける。
                 I
動物病院で診てもらう。十二指腸の炎症とのこと、
          栄養剤と薬の2本の注射を打ってもらう。


         1月4日 症状変わらず、いきつけのA動物病院で診てもらい、血液検査をする。
          結果は深刻なもので、生死の境だと言う。
          一日6時間の点滴を一週間は必要とのこと。ワンタにも家族にも負担だし不可能だ。
          治療はあきらめ、残された日々をワンタの住み慣れた家の中で過ごさせてあげよう。

                あと何日生きるかわからないが、最後まで看とってあげよう。と覚悟を決める。
                  それからの2週間、不思議で感動的な出来事が起こる。午後、ワンタを抱っこ
          して寒風の中を散歩。ワンタは自分が何度も遊んだ公園の中を名残惜しそうに見渡
          していた。

         1月5日 東京から長女が戻ってくる。夜、ワンタが門の石段の所で、ただじっと立っていた。
          そこは、長女がワンタを友人から受け取った場所。ワンタは懐かしく思い出していた
          としか思えない。「泣かせるよ。壬生義士伝の世界よー」と言って涙ぐむ長女。
                そして、散歩でも途中で立ち止まり、名残惜しそうにあたりを見回したり、
          近所のワンタの仲間マックやクマともじーっと見つめ合い、マックとクマも
          吠えずにまるで別れを告げているように無言だった。
                ワンタは自分の最後を悟り、この世に別れを告げているように思えて仕方ない。
          死の観念を持たないだろう犬がそんなことをするのだろうか。驚き感動する。
          夜は、二人のお姉ちゃんとワンタが川の字で寝ている。本当に小さな子供みたいだ。
           なんとか一日でもワンタの延命をと
I動物病院で一週間の点滴、注射器でスープ、
          肉汁を飲ませる等、家族で懸命に手を尽くす。しかし病状は悪化。水をのんでは吐き、
          背骨も出て、腰の肉も落ち小さくなる。抱っこして、あまりの軽さに驚く。
          A病院で治らないとすでにあきらめてはいたが、何とかという気持と、
          人間の心の準備のための無駄な治療であったかもしれないが、その分ワンタは生きた。
           

    1月18日 かわいい黄色い暖かそうなフリースの服を着せてあげる。とてもかわいい。
          子供たちと3人でワンタと動画をとったりして遊ぶ。ワンタの横たわっている
          ベッドの横の窓の外の格子のところにあの猫がすわって心配そうにこちらを見ていた。
          お見舞いかな。

      1月19日 午後3時5分、お母さんに看取られて、静かに息を引き取る。これで楽になったね。
          あまり苦しまなかったからよかったねと何度も独りでつぶやく。ワンタは眠っている
          ようで大変かわいい顔をしていた。涙が止め処もなく出た。
                もう1晩おうちに居ようね。

      1月21日 ワンタがいつもお遊んでいた庭の片隅のくちなしの木の横に埋葬。土に返す。
          何時の間にか小粒の白い雪が降り始めていた。     


                    
                  お庭のワンタの墓 
               ワンタ。愉しい毎日をありがとう。

                     ワンタへ。

       ワンタ、もう天国に着いたかな。今頃、かわいい黄色い服を着て思い切り遊んだり、
      食べたりしている様子が目に浮かぶよ。今でも家のどこかにワンタがいるような気がしてね。

        いつかは、別れる日が来ると覚悟はしていたけど、あまりに突然だったから、20日で逝って
      しまうとはね。
       かわいい顔をしていていつまでも仔犬みたいだったので、老犬とはそして病気とは思えなくてね。
      病気を治してあげられなくて悪かったね。

       ワンタ、我が家にもらわれてくれてありがとう。14年間家族と一緒に暮らしてくれてありがとう。
       家族みんなワンタのことは忘れないよ。とってもかわいかったよ。本当にありがとうね。

       今度は、人間に生まれておいで。そしてどこかで会いましょうね。それまでさようなら。

            俗名 ワンタ( 一太 )。  戒名 万年仔犬堂御主人    合掌


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