営業の達人への道


営業の仕事とは受注から始まり、売上し、そして入金まで。基本を越えた手法・考え方が必須。

 応用編 27. 虫の知らせ

27.虫の知らせ  
 昔から「虫の知らせだ」とか言って、人間の及ばないところの判断や行動に対して
総称してそういう使い方をすることがある。いわゆる第六感だ。前述した「数字が語る」も広義では同じなのかもしれない。例えば、あそこの会社では、コンピュータ導入の検討をしているのではないかとか、もう時期的に考えて、検討に入ったのではないかとか何かしら自然にそう思って飛び込んでみると、ズバリそうだったりして。 こんな時は、ラツキーとか思って気持ちよく攻めに掛かるが、以外に最初よければ終わりよしで受注できることも多いのだ。では何故そういうことが判ってくるのか、科学的に分析したことはないが、何らかの力が働いたことには変わりはない。今までこの虫くんには何回もお世話になったものだ。(1回ポッキリはまぐれ当りだ。)
 もう随分前になるが、集団検診業務のコンピュータ化を狙い、分厚い商工名鑑の中で
団体、協同組合のジャンルのところを調べ、飛び込んだところ丁度コンピュータ導入の検討に入ったところだった。先方の課長から「どうして検討しているのがわかったん?」と言われるくらいタイミングが良かった。すでにH 銀行系コンピュータセンターが絡んではいたが、ほとんど意に介さずアプローチを進めた。お客さんとの波長が合うということもあるが、まだ、営業の序盤の頃でも、訪問すると、「今日ぐらい来るんじゃないかと思っていた」と言われるくらい訪問日まで何故か相思相愛であった。こうなると受注活動の雰囲気も良くなって来るもので、銀行系圧力にも屈せず、約半年後に受注が出来た。この物件は、当時としては大口物件で、いわゆるオンライン受託業務であった。月額処理料1,200千円で、それから今日まで約27年間、システムの見直しやデータ件数の変動はあつたものの今だ健在で処理しているのだ。 今までの売上金額を計算してみると、ざっと4億円くらいになる。もちろん、数々のクレームにもめげず、この業務を支えたシステム、運用諸君の永年に渡る努力も大きい。
 このような物件の発掘も最初は、ちょっとした虫の知らせだ。下手な鉄砲数撃ちゃ当るだけでもない。やはり、足で考え、頭で行動し体全体で営業を捉えると何時の間にか営業の虫が体の中に住みついてくれるのだと思う。 そして、普段はグーグー寝ているが営業マン本人が本気になってコトを起こせば、この虫くんも起き出してくるのだ。ただし、今までの経験上、この虫が住みにくい営業マンも多くいる。つまり、営業感覚のない輩だ。こういう人達は、早めに自覚して足を洗うことが身の為だろう。そう簡単にこの営業虫は住みついてはくれない。
 


28. 足で考える  
 
営業を3年も5年もやっていると、営業の大体の段取り、要領が判ってきて、手馴れた対応が出来てくるものだ。 以前、手がけた物件と同様のアプリケーション・ソフト提案なんか資料はそのまま使える。見積もりもしかり。コンピュータに保存しているかつてのファイルを引き出して、最新の機器構成かの確認、金額の確認等々でOK。本当にコンピュータがあれば便利である。
 ということで、この頃になると、営業活動の実績が生きてくる頃といえる。反面、この頃に起こるいくつかのデメリットもある。営業活動に慣れた分、仕事に対する脇の甘さも出てきて、思わぬ失敗をやらかす。例えば、かって使った資料を焼き直して使うものだから、その時の名残の日付が入っていたり、金額が以前のままで直っていなかったり。こんなことが客先で、説明中にポロっと見えてきたりすると、本当に冷や汗ものだ。
 また、この頃は、営業行動もいろいろ分岐に立たされる。大体の要領が判っているものだから、お客の動きや、状況がだいぶ分かってくる。こうなると、行動の前にまず、頭でいろいろ推測し考えてそれから行動するパターンが多くなる。そりゃー
時間や
工数をかけての客先訪問は大変だつい頭で判断をしてしまう。
 例えば、月末だから今日行っても多忙だろうだとかまだ、導入検討には到っていないだろうとか・・・ところが、意外とこの考え・判断は当たっていないことが多いのだ。かって、こんなことで、導入検討に参加するタイミングを逸したり、最悪の場合ねほんの3週間前に、競合先に受注されていたりしたことがあった。熱心に営業努力を積み重ねている見込み客であればこそ、実に残念で、悔しい。
 訪問計画をきちっと立て、立てた以上、
必ず、(自分の足で)訪問、行動を実行する。考えて行動することも大いに大事だが、行動の中で、考え、次の受注のための一手をお客現場で考えること、このことを「足で考える」と称して、よく、怠慢な自分を動かしたもの
だ。
 顧客は、営業マンからみて、不本意で、不透明な動きをすることも多いのだ。
                                
                                       2007/07/05


             

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